出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版 2024年8月23日
株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)
目標には2種類あると思います。一つは、誰か(何か)と比較して上か下かという相対的な目標。もう一つは、数値や言葉で表すことができる絶対値の目標です。
起業するとき絶対値の目標設定をする人が多いと思います。こんな会社をつくろうとか、これを開発しようとか、分かりやすい絶対値の目標を持つ人が多い気がします。経営者の中でも、特に創業者に多いと思います。また、目標を持つから起業するのだと思います。
逆に相対値の目標を持つ人はサラリーマンに多い気がします。その理由を考えてみたことがあります。たぶん、自分を評価する人が上にいるからだと思います。そうなると同僚よりも良い評価を得たいと思う人が多くなるのだと思います。だから、横を見ながら生きていくのです。今働いている組織が全世界になっているのです。また、前を見ていないからどこへ進むか分かりませんし、興味も無いと思います。目標が相対値ですから。そして、その価値観のまま定年を迎えると何が残るでしょうか。たぶんストレスが残り常に人と比べて生きる余生が待っているのだと思います。私の友人で元県庁職員がいます。私より10歳以上年上ですが、「人生は退職後、友達が何人いるかが勝負だ」と言っていました。組織にいても友達ができる働き方をしてきたのだと思います。素晴らしいと思います。
絶対値の目標を持っている人は目標に向かって努力するので横を見ている余裕は無く、他人に興味を持たない人が多い気がします。だから成功と失敗を重ねながら苦労はしてもストレス無く生きていけるのだと思います。サラリーマンでも絶対値の目標を持っている人は、転職を重ね徐々に目標に近づいていく場合もあります。また、会社をあてにしないのでストレスも無いのだと思います。私も会社をあてにしていなかったので、サラリーマンを辞めるときは会社都合の解雇でした。翌年1人で1億円売りましたが(笑)。
ところで、目標に向かうための力と抵抗には比率があります。私はあまり力が無いので抵抗を減らすことに気を遣っています。そうしないと前に進まないのです。抵抗にはいろんな種類があります。例えば、SNS、知人、テレビ、新聞などです。以前、本田宗一郎さんが「軽さはパワーだ」と言っていたのを時々思い出します。私もそう思います。身軽にすることが目標達成には必要なのかも知れません。数年前、新しい目標ができたため、目標達成に不要なものを全て削除しました。残ったものは、服、靴、パソコン、車でした。余分なものをたくさん持っていたことに驚きました。多くのものを削ぎ落とした効果なのか分かりませんが、目標に向かって少し前進しました。