創造_エネルギーの自給自足

創造_エネルギーの自給自足

出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版 2026年4月17日

 

以前(2022年11月18日号)のコラムでオフグリッド住宅について触れましたが、今回はその実践編として、一般家庭におけるエネルギーの自給自足についてお話しします。地球温暖化で夏の猛暑が常態化する中、いかに安価なエネルギーで快適な生活を維持するかがテーマです。私自身が自宅のシステムを設計した経験を基に、電力を自給するステップと「オフグリッド」か「系統連系(売電)」かの判断基準を解説します。

1. 消費電力の把握と太陽電池容量の算出
エネルギー自給の第一歩は、自宅で消費する電力を正確に把握することです。

・住宅内の各設備(家電や照明など)を一覧化する
・それぞれの消費電力(W)を調べる
・1日あたりの稼働時間を予測して掛け合わせる

これで建物全体の1日の消費電力量(kWh)が計算できます。私の場合、計算後に実際に住んで消費電力を測定する実験を行いましたが、結果はほぼ事前の設計通りでした。この数値を基に必要な太陽電池の容量を計算した結果、私の家では「6.7kW」が必要だと分かりました。

2. オフグリッドと系統連系の比較検討
次に発電した電気の運用方法を決めます。送電網に頼らずバッテリーに貯めて自家消費する「オフグリッド」方式か、送電網と繋いで余剰電力を売り、不足分を買う「系統連系」方式かの2択です。

当初、私は完全オフグリッドを目指しました。しかし、「無日照日(太陽が出ない日)」の設定と「バッテリーコスト」が大きな壁となります。無日照日を長く設定すれば安心ですが、大容量のバッテリーが必要になり、初期費用や将来の交換費用が跳ね上がります。仮に5年ごとの交換費用が、5年分の電気代と同額なら導入する経済的メリットがありません。
私はバッテリー寿命を10年、無日照日を3日と設定しましたが、北陸では1週間太陽が出ないことも珍しくありません。風力発電の併用やエンジン発電機の導入、商用電源によるバッテリー充電も検討しましたが、決め手に欠けました。

3. 最終的な決断と効率的な運用
熟考の末、私はオフグリッドを断念し「系統連系(売電)」を選択しました。
最大の理由は、高額なバッテリー導入費用と、将来の交換費用というツケを残さないためです。そもそも今回の最大の目的は「夏の日中、電気代を気にせずエアコンを思い切り使うこと」なので系統連系で目的を達成できます。

系統連系のメリットを引き出すため、電力消費を日中に集中させる工夫も行います。通常は深夜に稼働する「エコキュート」の湯沸かし時間を、発電のピークである午前11時に変更します(設定変更ができない機種は、内蔵時計をずらす裏技が有効)。

4. 実際の導入費用と今後の目標
システムの初期投資は、年間の節約電気代で割れば回収期間が分かります。これを短くするため、私は極力DIYで済ませました。電力会社への申請、パネル取付用フレームの自作、設置や電気工事を自ら行いました。結果、費用は以下の通りです(2025年時点)。

パワコン(5.5kwアウトレット品):9万円
太陽電池(6.7kW):40万円
取付用自作フレーム:20万円
その他部材:5万円
合計:約74万円

今後は自家発電を1年間稼働させてデータを測定し、「売電金額」と「買電金額」を相殺してゼロ以上になれば成功と言えます。

 

筆者紹介
砂原康治(すなはら こうじ)
1964年生まれ、石川県出身。学卒後、電子回路やソフトウェアの設計業務に携わり、1994年に企画・設計・製造を一人で手がけるメーカーとして独立。仮設信号機、LED照明器具をはじめ多くの製品を開発し、特許や事業としても販売。グッドデザイン賞、ベンチャーフェア2000審査委員会奨励賞(現:ベンチャーアワード)など受賞歴多数。最近では、自社開発した「冷却ペットボトルカバー」をMakuakeに掲載し、目標金額の2271%の応援購入金額を獲得するなど、クラウドファンディングでも好結果を続けている。専門分野である新商品開発、 販路開拓、 知的財産、 IT・Eコマースなどの分野で、公的機関の商品開発アドバイザーとしても活動し、2024年4月より「いしかわ大学連携インキュベータ」のチーフインキュベーションマネージャーを務める。