創造_最善の方法は計算できる

最善の方法は計算できる

最善の方法は計算できる

出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版 2026年9月18日

株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (発明家・事業化プロデューサー)

以前、本コラムで、「目標と期限を決めると、最善の方法は一つになる」と書きました。今回は、その最善の方法をある程度「計算」で求める考え方をご紹介します。

この考え方の目的は、必ず成功することではありません。「成功するかどうかは分からない。しかし、最善を尽くしたかどうかは分かる」。そんな状態をつくることができれば、結果にかかわらず「あのとき、もっとこうしておけばよかった」という後悔は少なくなると思うのです。

では、なぜ最善の方法は一つになるのでしょうか。期限が過ぎたあと、「あのとき、こうしておけばよかった」と思うことがあります。ということは、その方法は期限前の現在にも存在していたはずです。後になれば誰でも気づけることを、今の時点で見つけ出す。それが重要であり、私はそれも仕事の一つだと思っています。

学生時代、数学の先生から「なぜ数学を勉強するのか」を聞いたことがあります。先生は、「今置かれている状況を数式にして理解し、次にどう行動すればよいかを考えるためだ」と説明してくれました。当時よりも、今になってその意味がよく分かる気がします。

今回は、新商品を考える場合を例にします。まず、自社が持っている設備、技術、人材、取引先、販売ルート、知的財産、ノウハウ、さらに外注によって実現できることまで含めて「リソース」を洗い出します。次に、自社が取り組める商品カテゴリーをできるだけ広く一覧化し、期限と利益目標を決めます。

そして、「リソースの一つ一つ」と「商品カテゴリーの一つ一つ」を総当たりで組み合わせます。例えば「この加工技術×この商品分野」「この材料×この用途」「この販売ルート×この製品」といった具合です。リソースが100種類、商品カテゴリーが1000種類あれば、それだけで10万通りの組み合わせになります。

もちろん、その大半は商品になりません。しかし、その中から「自社の強みが生きる」「既存商品より良くできる」「利益目標に届く可能性がある」といった案を絞り込んでいけば、思いつきだけで考えるよりも、かなり広い範囲から有望な候補を探すことができます。

ただし、ここで分かるのは「何を作るか」という方向性です。具体的な形状や構造、製造方法まで自動的に決まるわけではありません。そこから先には発明や設計が必要で、今のところ人間の経験や発想が大きな役割を持つと思っています。

これまで私は、この総当たりを頭の中で行ってきました。ところが最近、この部分をAIに任せてみると、案外面白い案を出してきます。AIは疲れず、大量の組み合わせを検討できるからです。

試しに、20年以上前に成功した商品の条件を現在に置き換えて再計算したところ、「なるほど」と思える商品案が出てきました。そこで今度は、机上の計算で終わらせず、実際にその製品を設計し、製造し、販売してみようと思っています。

AIの計算で導き出した商品は、本当に市場で通用するのか。結果はいかに。

 

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プロフィール
1964年石川県生まれ。1994年にメーカーとして独立し、仮設信号機やLED照明器具など多数の製品を開発。グッドデザイン賞など受賞歴多数。新商品開発、販路開拓、知的財産分野での豊富な実務経験を生かし、現在は企業の商品開発アドバイザーとして、新商品の企画から事業化、販売までを伴走支援している。
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