Category Archives: カーブミラー

なぜカーブミラーは曇るのか?

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放射冷却による結露や霜は、地球と宇宙との間でおこる熱の移動によって地表付近にある大気の中でおこるできごとです。

この現象に興味を持った砂原康治が18年の研究の結果、熱を使わずに放射冷却のなかで屋外に置いた物を気温より冷やさない方法を発明しました。

18年を費やした砂原康治の研究内容を説明します。

カーブミラーの研究成果はビジネスとしては成果はありませんでしたが温暖化傾向の中いろいろな物を冷却する用途に応用できます。

次は、エネルギーを使わずに冷却する研究に着手します。

参加費 1000円/人

(2015年1月31日15時~ ITプラザ武蔵 5F 第2研修室)

定員15人

カーブミラー結露予防法法 -6

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ついに最終回です。

消費電力を極力抑えてみました。

これは1Wのファンをデューティ50%で動作させ平均0.5W消費しました。

すると、風力が弱く周囲まで風が回らなかったようです。

今まで鏡面の裏に風を当てる効率を追求してきました。

できるだけ弱い風で鏡面の裏面とカーブミラー内部の空気を撹拌して馴染ませてきました。

今回は構造的に弱い風量でも風速を上げる方法を考えました。

下の図のように鏡面の裏面に少しすき間を空けて仕切板を設置します。

仕切板の中心に電動ファンを付けて裏側へ空気を引きます。

そうすると仕切板の裏側は空気が流れる断面積が大きく空気がゆっくり流れます。

逆に仕切板より表側(鏡面裏)は空気が流れる断面積を小さくしてあるので空気が速く流れます。

これにより電動ファンの能力は同じでも鏡面裏の空気の速度を上げることができます。

そうすれば空気と鏡面と温度が馴染みやすくなります。

単純ですが流量を変えずに流速を上げる方法です。

以上です。

ミラーの結露予防にここまでしつこく研究してみました。

そして、ミラーメーカー3社に提案してみました。

A社:うちは光触媒の設備投資をしてしまったから方式を変えずにいく。

B社:高機能のミラーを販売しても通常のミラーを販売しても役所の予算は同じだから売上も同じです。新しいことをする必要がありません。(18年前に結露と霜対策のテーマを持ち込んできた会社です。)

C社:無償なら使ってやっても良い。

ということで1円にもなりませんでした。チャンチャン。

しかし、特許を検索する限り放射冷却を一番理解しているのは私ではないかと思います。

そのとき無駄だと思っても3年で7割、5年で10割役に立ちます。いつもそう感じています。

この失敗(失敗ではなく実験結果)は根っこだと思っています。

カーブミラー結露予防方法 -5

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まだしつこく書きます。

1.ミラー内部の空気を撹拌することで結露を防げる方法は特許登録できました。

2.鏡面が露点以上になるように間欠運転をして消費電力を下げる方法も特許登録できました。

ここでさらなる省エネ運転法の発明です。といってもたいした発明ではことないんですけど。

下の図が間欠運転をした時の鏡面温度と露点との関係です。

S3(露点)を下回らないようにS2(鏡面温度)を制御している図です。

省エネ運転の方法は下記のようになります。

ファンが動作するON時間は変更できません。

しかし、必要以上の風速があっても無駄です。

そこで、動作中のファンの回転速度を下げる方法を考えました。

ONとOFF期間を可変する制御方法はPWMといいます。

今回、ON期間の中をさらに間欠運転してファンへ供給する電力を節約してみました。

この方式を何と呼ぼうか考えましたが思いつきません。

無理に当てはめるとダブルPWM方式かなと思います。

これでファンをゆっくり動作させることができるようになりました。

実験機は、外部のスイッチで細かなON、OFF期間の比率を調整できるようにしました。

どこまで消費電力を下げても機能上問題ないか限界に挑戦するためです。

これも実験により限界が判明しました。

なぜここまで消費電力にこだわるのかというと消費電力が半分になると太陽電池もバッテリーも半分の大きさになるからです。

下請けを叩いて仕入れるより消費電力を減らす方がいいですよね。

次はさらなる効率アップです。

しつこいですね。(笑)

特願2010-104995

カーブミラー結露予防方法 -4

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前回の特許出願と実験により原理は確立しました。

ミラー内部の空気を撹拌するだけで鏡面温度を露点以上に保つことができました。

次に製品化するためにはコストダウンする必要があります。

こちらが原理の特許を保有していても他社がコストダウンできる方法を開発して特許取得しこちらが、それを使いたいとなればクロスライセンスになりロイヤリティを取れない事になるかも知れません。

そこで最初に手がけるのは消費電力を下げることです。

基本特許は夜間ずーっとファンを動作させています。

そこで必要のないときはファンを停止する方法を考えました。

これは、外気温と鏡面温度を常時測定しておきます。

そして放射冷却が発生したと仮定すると外気温から露点が推測できます。← (ここ大事なところです。推測するんです。これで湿度センサーを省けます。さすが自分)

その温度と鏡面温度を比較しながら結露しそうになった時だけファンを動作させます。

下の図はその制御方法をグラフにしたものです。

鏡面温度が露点を下回らないように制御します。

これが4つめの開発です。

これからさらに消費電力削減方法を開発してきます。

制御方法のみならず構造的にも効率を上げる方法を考えました。

つまらないかも知れませんが勝手に書いていきます。(笑)

特許第4571706号

あれから9年が過ぎミラー3回目の挑戦です。

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前回の上空の空気を吸い込む方式を考えてから9年間ネット直販メーカーをやっていました。

研究が中断していました。

そしてネットショップを他社へ譲渡して、さて何をしようかと考えたところ途中になっていたカーブミラーの結露予防を思い出したのです。

データー収集はほぼ完了していたので現実に起こっている放射冷却とカーブミラーの関係は把握していました。

もう一度、頭の中で整理してみました。

空に雲がないから地表から遠赤外線を宇宙へ放射して冷えることが放射冷却です。

ミラーも同様に遠赤外線を放射し冷えてしまいます。

ミラーに接触している空気はミラーと同じ温度だと思いますが、その隣の空気分子は少し高い温度です。そのまた隣はもう少し高い温度です。

空気そのものは遠赤外線を放射せず通過してしまいます。

空気とミラーが接触しているにもかかわらずミラーだけが冷えるのは風がないから空気とミラーの温度が馴染まないのです。

風がある夜は天気が良くてもミラーは結露しないのはその理由です。

でも外に扇風機を置いて風を送るわけにはいかず、上から空気を吸い込むと穴が開くという問題にぶつかっていたのです。

9年間も研究が止まっていました。

しかし、ある日突然ひらめきました。

発明とか研究というのはずーっと同じ事を考え続けることで突破口が開くのだと思います。

水滴が石に穴を開けるように。

気温が急激に下がる時結露するという事は分かっていました。

ということはミラー内部の空気はそれより遅れて冷えるんだなと気づきました。

そしたらミラー内部の空気とミラーの温度を馴染ませればミラーを外気(露点:それ以下では結露する温度)より高く保てるのではないかと思ったのです。

原理は下図のようになります。

実際の試作器の内部です。

1Wの小さなファンをミラーの内部に取り付けて空気を撹拌します。

制御回路は4bitマイコンを内蔵し日没の検出と動作モードをプログラムしました。

この段階では日没から日の出までファンを動かすだけです。

そして、設置してみました。

このような実験を毎晩繰り返していました。

各部の温度測定のためセンサーとレコーダーを付けて外部バッテリーを置いて夜間ずーっと測定しているのです。

寒い中忍耐力が勝負です。

そして実験場へ行きミラーの後ろから近づいていきました。

裏面のツヤが違うことに気づきました。

もしかしたら成功したのかも知れないと思い雪の中を走っていきました。

結果は見事成功でした。

その結果が下の写真です。

普通のミラーは霜が付いているのに対してファンを内蔵したタイプは霜も結露もありません。

「やったー」

と心の中で叫びました。

18年かかってやっと放射冷却を根本から理解し放射冷却を応用して最小電力でミラーを露点以上に保つことができました。

消費電力は1晩12時間として12Whです。 小さな太陽電池でまかなえます。

下の写真が、量産前の試作品です。

これをポールの上に乗せてミラー内部のファンへ電源ケーブルをつなぐだけで結露と霜を予防できます。

残る問題はメンテナンスです。

消耗品は鉛シール蓄電池です。通常寿命は3~5年程度です。

しかし、以前同じ消費電力のLED照明器具を開発した時鉛シール蓄電池を12年間以上動作させたことがあります。

電池は普通なのですが充放電の制御方法をくふうし通常の3倍以上長持ちさせる方法を考えました。

これもすごいことです。

バッテリーメーカーの開発者は分かっていると思います。

それでも寿命があることには変わりありません。

そこで二重層コンデンサーを蓄電に使うことを考えました。

下の写真が簡単に容量を計算した時のホワイトボードです。

ということで、ミラーに穴を開けず、蓄熱材を使わず、ヒーターを使わず、放射冷却を理解し逆に応用して鏡面を露点以上に保つ方法を発明しました。

特許も登録になりました。

特許第4382870

しかし、まだひとつ腑に落ちないことがあります。

それとコストダウンのためのアイディアが追加で必要です。

今日はここまでにしておきます。

Category: カーブミラー

カーブミラーの結露予防方法 -2

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屋外で気温や湿度を測定していると気が付いたことがあります。

放射冷却が起こると地表付近から冷えていきます。

徐々に上の方の空気が冷えていきます。

確認のため建物の2階から熱電対の温度計を2種類の高さで垂らしてみました。

結果はやはり上の方が温度が高いという値が出ました。

それも高さ1mで1℃くらい温度が違ってきます。

1m上は1℃温度が高い空気があるのです。

そしてその温度分布は等高線のように少し凸凹しています。

このような空気の層ができるのです。

ということは1m上の空気を吸い込めばミラーはその付近にある空気よりも高い温度を保てるということかと思いました。

そこで実験してみました。

それが上の写真です。

左が普通のミラーで右が上から空気を吸い込むパイプを取り付けました。

一応、これで放射冷却を応用した結露と霜の対策はできました。

しかし、空気を吸い込むということは穴が開いているということです。

虫や葉っぱが入って故障するだろうなと思いました。

原理は良いのだけどこの穴が欠点です。

ということでこの方式は断念しました。

しかし、放射冷却というものがだんだん理解できてきました。

特願2000-297710

今日は、ここまでにします。次回をお楽しみに。