MakuakeやCAMPFIREといったクラウドファンディング(CF)でのプロジェクト立ち上げは、いまや製品開発やマーケティングの強力な武器です。私自身、これまで5つのプロジェクトをすべて成功させてきましたが、そのページの作成は決して楽な作業ではありません。
成功の裏には、単なるページ作成テクニック以前に、事業そのものに対する「思考法」が存在します。今回は、その思考法から具体的な実践術までを解説します。
1. 成功の秘訣は、たった一つ。「人が欲しがるもの」を作ること
CF成功の秘訣は何かと問われれば、答えは驚くほどシンプルです。それは「人が本当に欲しがるものを作る」こと。これができていれば、極論、CFでなくとも自社のネットショップで十分に商品は売れるはずです。
しかし、驚くほど多くの企業がこの原点を見失っています。
最近、まだ「昭和の営業」から抜け出せていない会社が多いことに気づきます。彼らは「たくさん作らないと利益が出ない」という思い込みから、自ら下請けの立場に身を置き、発注元に「注文をください」と頭を下げます。その結果どうなるか。発注者である私なら、当然のように価格交渉(指値)をし、利益は極限まで削られていきます。
そうではありません。自社の優れたアイディアにこそ価値があり、そこに「投資」をして商品化し、直接ユーザーに届けるべきなのです。
2. 「作業」ではなく「投資」に勝つ思考法
ここで、「仕事」の定義を明確にする必要があります。
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作業とは: 他者から工賃をもらい、言われたことをこなすこと。
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仕事とは: 自らリスクを取り、投資した資金や時間を回収し、利益を出すこと。
リスクを負うにもかかわらず、リターンが給料に限定される「サラリーマン」になってはいけません。自らがメーカーとなり、事業の主導権を握るのです。
現代において「メーカーになる」ために、自社工場や多くの従業員は必ずしも必要ありません。製造は世界中の誰でもできる作業ですから、最も条件の良い工場へ発注すればいい。自社の本質的な価値は、アイディアと、それをユーザーに届ける企画力にあるのです。
3. 最高の「ストーリー」こそが、最高のページを作る
この思考法を固めた上で、ようやくCFのページ作成という実践に移ります。
ページ作成で最も先に考えるべきことは、全体の「ストーリー」です。このページを訪れた人が「このアイディアを応援したい」「この製品を使ってみたい」と心を動かされ、支援ボタンを押したくなるような物語を構築することが、成功の絶対条件です。
私自身、1994年にネットオークションサイトを立ち上げた経験があります。当時はまだ検索エンジンすら未発達で、広く薄く資金を集める現在のようなCFは不可能でした。もし当時この仕組みがあったとしても、運営担当者の仕事はあまりに複雑で、事業化はしなかったでしょう。
時代が追いつき、個人や小規模なチームが簡単に資金調達や予約販売を行えるようになった今、改めてプラットフォーム担当者の方々の仕事ぶりを拝見すると、やはり大変そうだと感じます。だからこそ、私たちは彼らに敬意を払い、最高の「ストーリー」というバトンを渡さなければなりません。
4. プロジェクト成功に必要な「準備」と「素材」
魅力的なストーリーを伝えるために、具体的な準備と素材が必要になります。
【A】法務・事務的な準備(意外な落とし穴)
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会社の登記簿謄本: ほとんどのCFサイトで「発行から半年(または3ヶ月)以内」のものが要求されます。早めに準備しましょう。
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各種資料: 製品開発の裏付けとなる資料、外注先との見積書や契約書など、プロジェクトの信頼性を示すものは全て揃えておきます。
【B】ページを構成する素材
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写真と文章: 製品の魅力が一瞬で伝わる美しい写真と、欲しくなるような熱意ある説明文。
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動画: 製品を使っている様子が分かり、見ているだけで楽しくなるような動画。
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客観的なデータ: 必要であれば、性能を証明する実験データなど。
これらの素材作成を請け負う専門業者も増えてきました。まるでゴールドラッシュの時代に、金を掘る人へスコップを売るような確実なビジネスです。それも一つの選択ですが、私はよほど心を動かされない限り、他人の製品のページ作成は請け負いません。自分の製品だからこそ、その面倒な作業に情熱を注げるのです。
【編集のポイント】
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構成の再構築: 「思考法(なぜ)→ 戦略(何を)→ 実践術(どうやって)」という論理的な流れに再構成しました。
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主張の明確化: 最も重要なメッセージである「人が欲しがるものを作る」「投資に勝つ」という点を最初に提示し、以降の議論の土台としました。
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見出しの活用: 各セクションの要点がひと目で分かるように、キャッチーな見出しをつけました。
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具体性の追加: 「準備」と「素材」を明確に分け、箇条書きにすることで、読者がすぐに行動に移せるように配慮しました。
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歴史的背景の配置: 過去の逸話を、単なる思い出話ではなく、現在のCFの価値を際立たせるための文脈として配置しました。
