
出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版 2025年6月20日
株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)
今年もグッドデザイン賞の季節がやってきました。本年度は、5月22日13時をもって応募が締め切られました。
グッドデザイン賞を受賞するということは、単にデザインが優れているという評価を受けるだけでなく、日本を代表する一流メーカーと肩を並べることになります。企業規模を問わず、優れた製品やアイディアを創出すれば公正に評価される点が、この賞の大きな魅力です。広報活動の観点から見ても、これほど効率的な宣伝手段はないと思います。実際、私が過去に受賞した際には、その製品の特許と意匠が短期間で売れるなど、Gマークの効果を実感しました。
近年では、クラウドファンディングを通じてプロジェクトを成功させ、認知度を高めた上で知財取引へとつなげることも一般的になってきました。私自身、クラウドファンディング終了後にプロジェクト自体をオークション形式で売買できる仕組みがあれば合理的だと考えており、あるクラウドファンディング企業の社長に直接提案したこともあります。しかし、現時点では実現に至っていません。
製品の販売戦略においても、グッドデザイン賞の受賞歴は大きな競争力になります。なぜなら、第一線で活躍する現役デザイナーが審査を行っており、その評価には専門性と信頼性が伴っているからです。まさに、デザインの専門家集団による公的な認証と言えるでしょう。
ここで、2025年度の応募手順を簡単にご紹介します。応募は4月1日に受付が開始され、すべてWebサイト経由で行います。応募には、事前にグッドデザイン賞のアカウントを作成しておく必要があります。
応募時に準備する情報は以下の通りです。
・応募者名、プロデューサー名、ディレクター名、デザイナー名
・製品仕様、画像、審査用動画(YouTubeにアップしURLを記載可)
・応募対象の概要、デザインコンセプトに関する説明 など
必要なツールとしては、一眼レフカメラ、画像編集ソフト、動画編集ソフト、YouTubeチャンネルなどが挙げられます。これらの情報はすべて応募サイトに入力し、締め切りまでは何度でも修正可能です。私の場合も、毎日見返しては細部の調整を行いました。
一次審査の結果は7月1日にWebサイト上で発表されます。通過後は、二次審査への登録手続きを行い、8月5日に審査会場へ製品や説明パネルなどを搬入します。今年の会場は幕張メッセ国際展示場です。審査後、8月8日に現地から搬出する必要があり、これを怠ると審査失格になりますので注意が必要です。二次審査の結果は8月26日にWebで発表され、通過すれば「受賞内定」となります。
その後、受賞パッケージ料(181,500円)の支払いを含む手続きを完了すれば、晴れてGマークの使用が認められます。審査料と合わせた初期費用は合計で269,500円となります(展示準備費等は別途)。また、Gマークの使用期間に応じた追加費用も発生しますので、ある程度の販売見込みがなければ継続的な使用は難しいかもしれません。
受賞製品は年鑑にも掲載され、11月4日には受賞祝賀会が開催されます。私もかつて赤坂プリンスホテルで行われた祝賀会に参加しましたが、自動車メーカーをはじめとする大企業のデザイナーたちと肩を並べる貴重な場であり、今後もこのような舞台で挑戦を続けたいと思ったことを覚えています。
写真は、以前受賞したとき頂いたGマークのピンです。