創造_終わりを決める

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出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版


株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)

 始まったものは必ず終わります。始めることを自分で決め、終わりも自分で決めることができればハッピーエンドになると思います。しかし、始めることを決められても、終わりを決められない人が多いのではないでしょうか。昭和の時代は、人の寿命よりビジネスプランの寿命が長かったので、それでも良かったのですが、今は色々なものの動きが早いので、ビジネスプランや商品の寿命も短くなっています。世の中の動きより早く考え行動しないと、自分のビジネスプランが鎮撫化して価値を持たなくなると思います。
 学生時代、授業で「時間が経つと変わるものと変わらないものがある」と習いました。不易と変易というそうです。昔は変わらないと思われていたものでも現在では変化するようになってきました。変わらないものは、物理の法則だけのような気がします。
 私はこれまで、自分で始めて自分で終わりを決めてきました。次のビジネスプランを考える事は大変ですが、会社の運命を一つのビジネスプランや商品に委ねていては、商品寿命とともに会社も終了します。これは性格にもよると思うのですが、新規に商品を立ち上げ、売上が伸びていくことは楽しいけれど、水平飛行に入ると単純作業になりつまらなくなるのは私だけでしょうか。そのため、いつも水平飛行に入ると終わりを考え始めます。
 終わり方はいくつかあると思います。
①採算が取れなくなるまで商品を販売する
②売上が上昇中に事業譲渡する
③売上が水平飛行に入ったとき事業譲渡する
これは状況によって選べば良いと思います。売上が減少傾向に入ってからの事業譲渡は値段が付かない可能性があるので、終わり方はこの3つから選ぶと良いと思います。

 途中で事業譲渡するメリットは、次のテーマに時間と資金を投資できる点だと思います。同じ業界で商品を増やして売上拡大するのは簡単で良いことですが、業界そのものが無くなることもあります。現在の事業を行いながら、違う業界のビジネスプランや新商品を考えることは、実はとても難しいのです。
 通常業務の傍ら、新規事業を開発しようとしても良い成果がでないと感じています。そこで次のテーマをつくるためには、専任の担当者を置くことをお勧めします。時間を細切れにされては、深く考えることができないのです。専任の担当者は誰でも良いわけではなく、持って生まれたセンスの上に努力を積み上げられる人が良いと思います。これは単純作業ではないので、適性が問われると思います。
 以前、自社工場で自社製品を製造直販していた事があります。そのときは、次の商品を開発できませんでした。これは危険だと思い、次のテーマが無いのにもかかわらず、その事業を譲渡したことがあります。事業譲渡の代金を使い切る前に、次の事業を立ち上げれば良いのです。リスクは高いのですが、その方が生存の確率が高いと感じました。そこまでしても、次の商品開発というのは重要なテーマだと思います。
 人材に余力があれば商品開発の部署を設ける事をお勧めします。そのためには、付加価値の高い商品を開発する必要があります。鶏と卵の話になりましたが、どこかで無理をしてその流れに乗る必要があると思います。それが仕事だと思います。

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