出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版
株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)
誰でも自分に合ったステージで働く方が良いと思います。数の大きい順に図を描いてみました。なお、このコラムでは製造業の話はしないので、ご了承ください。
誰でも起業するときは、”こんな仕事をしよう”と考えます。それがその人のステージだと思います。例えば、***のメーカーをやってみようとか、士業をやってみようとか、投資家をやってみようとかです。それを考える理由は、”これならできそうだ”という根拠のない自信があるからだと思います。それが、その人の活躍するステージだと思います。 私の場合、小学校4年生のときに「発明家」になろうと思いました。そして、大手メーカーの製品を設計する仕事に就きました。しかし、下請けで単なる作業者で、アイディアを出す場面がほとんど無かったため、メーカーとして起業することにしました。資金、商品、取引先など何も無いところからのスタートでしたが、1人で初年度に1億円を売り上げることができました。やはり、売れる物を作っていれば良いのだと確信が持てました。しかし、メーカーというのは製品が売れ出すと単純作業になり、つまらなくなりました。そこで、売上のある事業は現金化できるのではないかと思い、その事業を売ってみることにしました。1999年の事だったと思います。何とか事業譲渡に成功し、私は時間とお金を手に入れました。権利を作って売る仕事の醍醐味を味わってしまいました。「これだこれ!」と思い、これまでに合計10件の事業や特許などを販売しました。本来、発明家とはこのような仕事なのです。このように、起業後に自分のステージにたどり着くこともあります。
いろんな場面に遭遇して思うことは、「最初に思ったことが正しい」ということです。最初に思った仕事がその人には向いているということです。少し違うなと思ったときは、もがいてみることです。そうすると、少し離れたところに居心地が良いところが見つかるかもしれません。最初に感じたステージに立ってみてシックリくれば良いし、少し違和感があれば動いてみることです。これはサラリーマンでも同じだと思います。違うと思ったら転職すれば良いのです。
図にあるステージの上の方へいくほど影響力が増します。また、ステージを1つ上がるごとに考える項目が桁違いに増えます。例えば、商品開発を行う発明家という仕事では、原理の発明以外に、特許の登録と管理、製品の仕様を決め設計製造が可能か、ビジネスプランとして成り立つかを考えます。自分のステージだけではなく、それ以下のステージも動かす必要があります。それで考える項目が桁違いに増えるのです。
次は投資家です。投資家は、ビジネスプランを評価し投資するかどうかを考え、良いと思えば投資します。特許を使う権利はビジネスプランの実行者が保有していますが、投資家は全体を所有することになります。失敗すれば投資した資金の全てを無くします。設備投資の「投資」という言葉とは意味が違います。
30年ほど営業してみて感じたことは、ステージ間で”ものさし”の隔たりが極めて大きいということです。生まれながらにして持っている価値観の違いという感じでしょうか。その隔たりは簡単に埋まるものではなく、できるだけ早く自分に合ったステージを見極めることも大事だと思います。