マウスパッドから始まった、4K対応プロジェクタースクリーン開発秘話

今日はプロジェクタースクリーンの開発についてお話しします。

■きっかけは「シール式マウスパッド」

昔、私は表面の摩擦抵抗を極限まで減らした「シールタイプのマウスパッド」を開発しました。 当時、マウスパッドといえば厚さ5mmのスポンジが主流でしたが、私はフッ素樹脂の特殊フィルムを採用。おそらくシール式は私が最初だったと思います。この時、ある特殊なフィルムを作れるメーカーと出会い、フィルムについての知識を深めました。

その後、「プロジェクタースクリーンを作ろう」と思い立った際、その知識が点と点でつながりました。例のメーカーに特注フィルムの製造を依頼したのです。

■4K・8Kも余裕で映す「気泡」の技術

完成したのが、この透過型スクリーンです。 原理は「2軸延伸法」を用いて樹脂を引き伸ばすことで、内部に微細な気泡を作ります。プロジェクターの光がこの気泡(約10ミクロン)に当たって拡散し、像を結ぶ仕組みです。

従来の「繊維を織って作ったスクリーン」は、高解像度になると織り目が見えてしまう欠点がありました。しかし、このフィルムなら4Kや8Kの解像度でも全く問題ありません。むしろプロジェクターのドットが見えてしまうほど、スクリーン側の性能が高いのです。

■液晶パネルを超える拡散性能

性能測定の結果、視野角・輝度ともに驚くべき数値が出ました。 液晶パネルに使われるバックライト用拡散板(2mm厚)と比較しても、わずか90ミクロンのこのフィルムの方が、拡散率・透過率・色の再現性のすべてにおいて高性能だったのです。

実際、この技術を使えば、ガラス、金属、樹脂など多様な素材と組み合わせができ、視野角や輝度(ゲイン)も自在にコントロール可能です(ゲイン10のスクリーンも制作できました)。 基本モデルでも、真横から見て正面の半分の輝度を保てるため、狭い部屋で多人数が見る家庭用にも最適です。

■「モノ」ではなく「事業」を作る

この技術を元に『ファーストスクリーン』というブランドを立ち上げ、6年ほど自社で販売しました。 性能は従来品の10倍、価格は破壊的。広告費ゼロでも飛ぶように売れ、性能と価格で業界に一石を投じることができたと思います。

私は元々商品企画が本業です。「こうすれば売れる」という情報を形にして販売するのが仕事です。 事業が軌道に乗った後、ネットショップは静岡県の会社へ譲渡し、現在も営業が続いています。

コピー用紙にも映像は映るのに、なぜ人は高額なスクリーンを買うのか? 私たちが提供したのは、その常識に対するひとつの答えだったのかもしれません(笑)。

 

 

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