Windows 10への移行―8年経って振り返る、あの日の快適さと“避けられない別れ”の記憶

この記事の最初のメモが書かれたのは、2017年の3月。そして今、2025年の秋に、私は改めてこの文章に手を入れています。当時、多くのユーザーがそうであったように、私も長年使い慣れたOSからWindows 10への移行を決断しました。

今日は、あの時感じた率直な感想と、8年という歳月を経て見えてきた「OSをアップグレードする」ということの本質について、振り返ってみたいと思います。

 

感覚が変わらない、という「最高の体験」

 

OSのアップグレードと聞くと、多くの人が一種の「不安」を覚えるのではないでしょうか。「UIが大きく変わって使い方が分からなくなるのでは?」「大切なデータや設定は引き継がれるのか?」といった心配は尽きません。

しかし、私のWindows 10への移行体験は、良い意味でその期待を裏切るものでした。結論から言えば、「OSが変わったということを、ほとんど実感しなかった」のです。

その最大の理由は、私の仕事環境がクラウドサービス上に構築されていたからでした。

  • 各種アプリケーションはそのまま引き継がれ、
  • ブラウザの膨大なブックマークはアカウント同期で一瞬で復元され、
  • 全ての作業ファイルはDropboxの中にありました。

結局のところ、OSはあくまでこれらのツールが動くための「土台」でしかありません。その土台が新しくなっても、その上で使う道具や資産が変わらなければ、ユーザーとしての感覚は何も変わらない。このシームレスな移行体験は、クラウド時代におけるOSの役割の変化を象徴する出来事でした。

ただ一つ、明確に変わったことがあります。それは、システムの「動作速度」です。起動からアプリケーションの立ち上がり、ファイルの操作に至るまで、あらゆるレスポンスが目に見えて速くなりました。日々の作業における小さなストレスが解消され、パソコンに向かうのが純粋に気持ちいいと感じられたことを、今でも鮮明に覚えています。

 

動かなくなった2つのソフトと、「時代の流れ」

 

もちろん、すべてが順風満帆だったわけではありません。移行の代償として、長年私の仕事を支えてくれた2つのアプリケーションが、その役目を終えることになりました。

  1. 古いバージョンのPhotoshop
  2. 機械設計用のCADソフト

これらはWindows 10の環境では動作しなくなり、起動しようとしてもエラーメッセージが表示されるだけでした。新しいOSのアーキテクチャに、古いソフトが対応できなくなる。これは、テクノロジーの進化において避けられない、ある種の“別れ”です。

特に、慣れ親しんだツールの操作感が失われるのは寂しいものです。しかし、この出来事は私に、自分のデジタルツール全体を見直す良いきっかけを与えてくれました。これを機に、Adobeのソフトウェア群は、時代に合わせた新しいバージョンへと移行することを決意したのです。

 

結論:進化とは、何かを得て、何かを手放すこと

 

2025年の今、Windows 10もその役目を終えようとしています。振り返れば、あの2017年の移行は、私のデジタル環境を大きく近代化させるための、重要な一歩でした。

得られたのは、圧倒的な「快適さ」と「パフォーマンス」。 手放すことになったのは、「使い慣れた古い道具」と、それに伴う「過去のやり方への固執」だったのかもしれません。

OSのアップグレードとは、単なるソフトウェアの更新作業ではありません。それは、時代の変化に合わせて自らのワークスタイルを見つめ直し、未来に向けて最適化していくための、定期的で、そして必要不可欠な儀式なのだと、8年の時を経て改めて感じています。