これは、私が普段行っている「一見アホな実験」の一例です。 今回の課題は、「ポリプロピレン(PP)フィルムを平面に貼る」という、とてもシンプルなものでした。
【課題】なぜPPはくっつかないのか? ご存知の通り、PPという素材は化学的に非常に安定しており、表面のエネルギーが低いため、原則として何もくっつきません。
- 試行1:接着剤 市販の「PP用接着剤」を試しましたが、実用的な強度が出ず、ダメでした。
- 試行2:アクリルでの固定 次に、液体のアクリル樹脂の中にPPフィルムを浮かべ、そのまま重合(固体化)させてみました。これは物理的に固定できましたが、「製品が厚くなる」「高価になる」「用途が限定される」という問題があり、汎用的な解決策にはなりません。
- 試行3:粘着テープ化(と、その壁) 理想は、フィルム自体に粘着加工(両面テープのような処理)をすることです。 しかし、当然ながら「PP」と「粘着剤」がくっつかないため、粘着剤を塗ってもすぐに剥がれてしまいます。
【ブレイクスルー】「くっつかない」なら「くっつく」表面に変える ここで発想を変え、粘着剤を塗る「前処理」として、PPフィルムの表面にコロナ放電処理を施しました。
これは、表面を物理的・化学的に「改質する(荒らす)」ための技術です。 この処理によって初めて粘着剤がPPフィルムにしっかりと食いつくようになり、ついに「粘着加工PPフィルム」を完成させることができました。
【結論】 私は化学が苦手ですが、「なぜダメなのか?」という問題を一つずつ理解し、潰していけば、必ず方法は見つかると信じています。
こんな実験を何十年も続けてきた結果、「誰かが今、壁にぶつかっていること」と、「私が過去に苦労した経験」が重なることがよくあります。 「こんなこと無理だろう」と思うような課題でも、お答えできることが多いと思いますので、ぜひお気軽にご相談ください。
