目標は「完成」。薄型・軽量モデルの試作に着手
長らく開発を続けてきた防音個室ですが、いよいよ最終的な完成を目指し、新しいプロトタイプの製作に取り掛かります。
今回のモデルの最大の改良点は、壁の薄型化と軽量化です。
性能と重量の最適バランスを求めて
従来のモデルでは、壁の厚さが11cmありました。これに対し、今年1月にテスト製作した新しい壁は、厚さ6cmと大幅なスリム化を実現しています。
もちろん、薄くすれば音響性能は低下する傾向にあります。実際に測定したところ、遮音性能の指標となる音響透過損失(500Hz)は、従来の35dBから33dBへとわずかに低下しました。
しかし、この2dBの性能差と引き換えに得られた「軽量化」というメリットは非常に大きいと判断し、この6cm厚のタイプをベースに試作品を開発することに決めました。
想定される利用シーンと設計上の注意点
この新しい薄型モデルは、低音域の遮音性能が従来品より若干劣る可能性があるため、ドラムやベースのような重低音を出す打楽器や大型楽器には向きません。
一方で、管楽器や弦楽器など、手で持てるサイズの楽器の練習には十分な性能を発揮できると考えています。
また、設計における重要な課題は、一般的な住宅の天井高(2.4m)で問題なく組み立てられることです。どんなに性能が良くても、お客様の部屋に設置できなければ意味がありません。この制約をクリアできるよう、これから図面を修正し、試作品の製作に着手します。
いよいよ形になるのが楽しみです。

