多くの方と話していると、「商品企画は、ひらめきや思いつきから生まれる」と考えている人が非常に多いことに気づかされます。
しかし、私の考えは全く異なります。商品企画とは、センスや感覚ではなく「物理の計算」に近い、極めて論理的なプロセスです。
私の定義する「商品企画」のプロセス
私が考える商品企画は、以下のステップで進められます。
- 着想(ひらめき): ユーザーの気持ちを想像したり、ふとした思いつきからアイデアの種が生まれます。
- 計算(検証): そのアイデアが「物理的に実現可能か」そして「経済的に成り立つか」を、何度も計算して検証します。ここが最も重要な核となる部分です。
- 実験(確認): 計算上、可能性があると判断できたら、小規模な実験でその仮説が正しいかを確認します。
- 前進: 実験で確証が得られて初めて、次の開発段階へと進みます。
つまり、「ユーザーの気持ち」や「ひらめき」はあくまでスタート地点に過ぎません。そのアイデアを支える「物理の計算」という土台があって初めて、商品企画という専門技術が成り立つと私は考えています。そのためには、少なくとも中学校レベルの理科や物理の知識は必須の基礎教養だと言えるでしょう。
大手メーカーの手法との決定的な違い
一方で、大手メーカーの商品企画は、このプロセスとは少し異なります。
彼らは豊富な情報収集能力を活かし、「どんな商品が欲しいか」を多くの人にヒアリングし、データベース化します。そして、その中で最も売れそうなものを分析し、製品化するのです。
これは、市場の需要に応える「後追い」の手法です。顧客の声を聞いてから作り始めるため、堅実ではありますが、決して市場を創造する「1番手」にはなれません。
「本当の商品企画」とは
私が信じる「本当の商品企画」とは、そうした市場調査とは一線を画します。
それは、孤独の中で深く思考し、緻密な計算を重ね、自らの確信に基づいて「これだ」と思うものを世に問いかける行為です。そこにこそ、世界を驚かせるような、全く新しい価値を生み出す可能性があるのだと確信しています。
