1994年から、私は自身で発明した特許のライセンス販売を手掛けてきました。これまでの実績を正直にお話しすると、出願件数50件に対し、販売成功は10件。この数字だけ見ると、成功率は20%に思えるかもしれません。
しかし、この10件の成功は全て、ある戦略に切り替えた後半の期間に集中しています。テーマ(事業の種)ごとの打率で言えば、約60%の確率で販売に繋げてきました。
日本の特許が売れる平均確率は0.3%とも言われる中、なぜこれほどの成果を出せたのか。今回は、その思考法と実践のコツをお話しします。
ステップ1:大前提は「確実に権利化する」こと
特許を売るためには、当然ながら、まず特許権を取得しなければなりません。当たり前のことですが、ここが全てのスタートラインです。
私の近年の特許権利化率は100%です。なぜなら、出願前に徹底的な先行技術調査を行うからです。この調査精度が上がったことで、無駄な出願がなくなり、出願したものは確実に権利化できるようになりました。
ステップ2:買い手の心理を理解する。「儲かる証拠」を提示する
ここからが本題です。私が戦略を切り替える前、つまり前半の期間は弁理士の先生に依頼していましたが、残念ながら1件も売れませんでした。
なぜ売れなかったのか。それは、買い手の心理を理解していなかったからです。 特許を買う企業が考えていることは、たった一つです。
「この特許にいくら払ったら、将来いくら儲かるのか?」
私たちの仕事は、この問いに対する「客観的な証拠」を用意することに尽きます。買い手は夢物語ではなく、利益に繋がる根拠を求めているのです。
この「儲かる証拠」の作り方は、テーマによって様々です。市場データ、試作品の性能評価、潜在顧客へのヒアリング結果など、あらゆるものを組み合わせ、利益が生まれるストーリーを構築します。この戦略的思考こそが、知財を売る仕事の核心です。
究極の証明方法、そして「メーカーになる」という矛盾
では、「儲かる証拠」として最も強力なものは何でしょうか。 それは「販売実績」です。
「この技術を使った製品は、実際にこれだけ売れています。だから、この特許にはこれだけの価値があります」と証明できれば、買い手は安心して投資できます。
しかし、ここには面白い矛盾が生まれます。販売実績を作るということは、自分自身がメーカーになるということです(笑)。特許を売るために、結局は自分で事業を立ち上げることになるのです。
もちろん、これは一つの究極的な方法です。実際には、各特許の性質や市場によって、最適な「証拠」の作り方は全く異なります。
もし、ご自身のアイディアや特許の販売で悩んでいる方がいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。あなたのための「儲かる証拠」の作り方を、一緒に考えさせていただきます。
