創造_データから顧客ニーズを掴む

データから顧客ニーズを掴む

出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版 2025年11月21日

株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)

新商品を開発する際、「多くの人が本当に求めているものは何か?」を知ることは、成功への鍵となります。開発者の主観ではなく、客観的なデータに基づいて顧客の興味を探ることで、開発の精度は格段に向上します。ここでは、私が実際にデータを活用して市場ニーズを把握するために実行した、具体的な3つの方法をご紹介します。

アプローチ1:Webサイトのアクセス解析で「潜在ニーズ」を掘り起こす
自社サイトは、顧客の潜在ニーズを発見する宝庫です。アクセス解析でユーザーの行動を分析すれば、関心のあるテーマや課題が見えてきます。この作業は、商品開発において欠かせないものだと考えています。

○ 分析すべき主なデータ
・滞在時間の長いページ:ユーザーが特に強い関心を持つコンテンツを示します。
・検索キーワード:ユーザーがどのような課題や欲求を持ってサイトにたどり着いたかが分かります。
・ユーザーの行動フロー:どのページから訪れ、次にどのページへ移動したかという興味の移り変わりを追跡できます。
・閲覧者の地域:どのエリアの顧客に注目されているかを把握できます。

他にも多くの情報が得られますが、これらのデータからユーザーの気持ちを推測する必要があります。

○ データの活用法
例えば、滞在時間の長いページは、内容をさらに深掘りして追記すれば、より強い関心を引き出せる可能性があります。このように、データから世の中の関心事を理解することは、次の商品開発のヒントになります。開発者の主観と市場ニーズのズレを埋めるうえで、アクセス解析は有効です。

アプローチ2:過去の販売実績は、未来を予測するうえで信頼性の高いデータです。商品ごとの売上を時系列で分析することで、消費者の好みの変化を捉え、次の戦略につなげることができます。

○ 私の実践例
以前、ネット直販で商品ごとの売れ行きをグラフ化していました。ある時、小さいサイズの売上が落ち、大きいサイズが横ばいという傾向から、「さらに大きいサイズへの需要がある」と仮説を立て、特大サイズを投入した結果、売上を維持・向上することができました。消費者の好みは変化します。販売データという「答え」に追随する方が、確実性が高いと言えるでしょう。

アプローチ3:SNSとクラウドファンディングで需要の「答え合わせ」をする
製品化の前に需要を確認し、開発リスクを抑えるアプローチです。

○ 具体的なステップ
・開発過程の公開:開発プロセスをYouTubeなどで動画公開する。
・反応の分析:再生回数などから反響の大きい企画を選ぶ。
・テスト販売:反響の大きかった製品をクラウドファンディングに出品し、需要を最終確認する。

この手法の利点は、市場の「答え合わせ」をしてから生産に入れる点です。在庫リスクを負わずに、本当に求められる製品だけを届けることができます。

まとめ:データ活用と「自社らしさ」の確立
今回ご紹介した手法は、データに基づいて顧客を理解するための有効な手段です。勘に頼らず、データを羅針盤とすることでヒットの確率は高まります。老舗企業がヒット作を出し続ける背景には、長年のデータ蓄積とノウハウがあります。若い会社こそ、早期にデータ活用の習慣をつけ、顧客理解を深めながら「自社ならではの成功スタイル」を確立することが、持続的成長の鍵となるでしょう。今回ご紹介した3つのアプローチはほんの一例です。他にも多くの手法があります。自社にあった手法を開発されることを期待しています。