昔から逆位相の音を出して騒音を打ち消す方法があります。
しかし、欠点があります。
騒音を聞くマイクのある場所の騒音が消えるのであって部屋全体とか空間全体の騒音を消すわけではないのです。
そこで考えました。
部屋全体(ある空間全体)の騒音を消すにはどうするか。
空間は面に囲まれています。
そこで外から入ってくる騒音は面の振動を止めれば入ってこないと気づきました。
そして考えたのが下の図です。
左が原理図です。
面の一箇所にマイクとスピーカーを同軸になるように取り付けます。
スピーカーはコーン紙が不要です。アクチュエーターとして動作すればよいです。
原理は次のようになります。
面が振動しマイクが押された時発電します。
それをアンプで増幅して位相を反転せずにそのままスピーカーに入れます。
マイクとスピーカーの向きが反対なのでマイクが押されたらスピーカーが引く方向に動きます。
マイクが引かれたらスピーカーが押す方向に動きます。
これによって板の振動を止めるのです。
止める能力はスピーカーのマグネット側の質量によって決まります。
製品にする場合は右の図のようにマイクもスピーカーも同じ面に取り付けます。
但し、マイクとスピーカーは磁気的に絶縁しておく必要があります。
スピーカーが動いた磁力をマイクがそのまま拾って面が動いたと勘違いしないためです。
実際に実験をしてみたところ、板の振動がピタッと止まりました。
すげーと思いました。
これなら一般家庭向けに2800円くらいで販売してそれから潜水艦メーカーに売りに行けばいいと思いました。
一般家庭は窓ガラスに貼ります。
潜水艦は艦内の騒音を外部へ漏らさないために使います。
本来なら軍事技術が民生品に転用されるのですが、特許を売るためにはこの作戦がいいかなと思いました。特許になるかどうかは別ですけど。
もう一つ用途を思いつきました。
自動車のサスペンションです。
直線運動を制御する技術ですからサスペンションに使うのが最適と思いました。
たぶん自動車のサスペンションはスピーカーメーカーが作るんだろうなと思いました。
それから数年してキャデラックとボーズが同じ原理でサスペンションを発表しました。
どんな路面でも自動車を水平に保つそうです。
音関連ではDSPの技術を使えば車のサスペンションなんてゆっくりした動きは自由自在に制御できると思います。
問題は、コイルに大電流を流すことで電源が持つかということだと思っていました。
やはりキャデラックとボーズもそこに悩んだそうです。雑誌に書いてありました。
しかし解決したそうです。
開発の過程でぶつかる問題点も予想できたことがうれしかったです。
ある時、長野県のパソコンメーカーの社長から電話がかかってきて「パソコンの騒音を止めたい」と言われました。
一応、この実験機を持って訪問してました。
パソコンの騒音は風切り音なのでこの方式では止められませんと説明しました。
未だに製品化されていないのはなぜなのか不思議ですね。
自動車以外の用途ならすぐに製品化できそうな気がします。