創造_製造業とメーカー

帝国ニュース北陸版に1回目が掲載されました。

創造_製造業とメーカー(出典:帝国データバンク)

製造業とメーカー

株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー) 

 2003年7月~2004年7月まで、”破壊”というタイトルで12回コラムを書かせていただきました。今回、”創造”というタイトルで、18年ぶりに担当させていただくことになります。
 職業は発明家です。成績は、特許などの出願50件に対し、売れた数が10件です。特許を扱う日本人の100倍程度の打率ではないでしょうか。その内訳は、特許、意匠、商標、ネットショップ、事業などの販売です。製品を考えて作って売る。そしてその権利や事業を売るという全ての工程を行ってきました。現在は、他社の商品開発のアドバイスも行っています。
受賞歴:グッドデザイン賞、ベンチャーフェア2000審査委員会奨励賞(現:ベンチャーアワード)

 製品を扱う仕事には2種類あると思います。製造業とメーカーです。製造業は、効率化や改善など守りを行い利益を残します。メーカーは商品開発などの投資を行い攻めます。今回は、攻めの部分を書いてみたいと思います。その理由は、私は守ったことがないからです。売上に困ったら売れる物を作って売ってきました。
 では、どうやって売れる物を考えるかです。期限がきたとき「あの時ああしておけば良かった」と思うことがあると思います。ということは、今「こうする」という方法があるのです。これに気づけば、現状を打開することは”ムリ”ではないことが分かります。
 次に、今自分がいる業界は発展するのかを考えてみます。5年後も10年後も存在するのであれば、その進歩に貢献する商品を考えれば良いのです。つまり新商品はあるということになります。次に自社で利用可能な技術や販売方法などについても同様に考えていきます。このようにして外堀を埋めていきます。そうすれば、答えは必ずこの中にあるという日本語で書かれた連立方程式ができます。この連立方程式を解けば新しい商品企画になります。必ずしも成功するとは限りませんが、成功の確率を上げ論理的に商品を企画する仕組みを持つと強い企業になると思います。
 これまでに特許出願1件に対して検討したアイディアは20件ほどになると思います。ですから1000くらいの分野や技術について考えてきました。
 メーカーとは投資業です。商品を企画したあと開発投資を行います。そして製品が売れて投資額を回収できたら成功、できなかったら失敗です。これを速く安く多く実行する事で連立方程式を立てるノウハウが蓄積されていきます。私が思うメーカー像です。
 次回は、さらに具体的に説明したいと思います。

少し詳しく書いてみました。

 

創造(第1回)】メーカーの本質は「投資業」である。

 

2003年7月から1年間、”破壊”というタイトルでコラムを連載させていただきました。そして今回、18年の時を経て、”創造”という新しいタイトルで再び筆を執らせていただくことになりました。

 

私は「攻め」専門の発明家

 

私の職業は発明家です。 まずは私の「成績」を簡単にご紹介させてください。これまでの特許などの出願件数は約50件。そのうち、実際に「売れた」数は10件です。

この「売れた」の内訳は、製品そのものに限りません。特許、意匠、商標といった「権利」の売却、あるいはネットショップや「事業」そのものの売却も含まれます。つまり、「製品を考えて、作って、売り、最終的にはその権利や事業ごと売る」という、商品開発の源流から川下までの全工程を実践してきました。

この実績は、特許を扱う日本人の平均的な打率と比べ、100倍程度の精度ではないかと自負しています。現在は、その経験を活かし、他社の商品開発アドバイスも行っています。(受賞歴:グッドデザイン賞、ベンチャーフェア2000審査委員会奨励賞(現:ベンチャーアワード))

 

「製造業(守り)」と「メーカー(攻め)」

 

私が思うに、製品を扱う仕事には大きく分けて2種類あります。

  1. 製造業(守り): 与えられた図面や仕様に基づき、いかに効率よく、高品質な物を安く作るか。「改善」や「効率化」といった「守り」を固めることで利益を残す仕事です。

  2. メーカー(攻め): 世の中にない新しい商品を企画し、開発に「投資」する。「攻め」によって市場を創造し、大きなリターンを得る仕事です。

今回からのコラムで私が書きたいのは、後者の「メーカー(攻め)」の部分です。 なぜなら、私自身が「守った」経験が一度もないからです。売上に困ったら、その都度、新しく売れる物を作って売る、という「攻め」のスタイルを貫いてきました。

 

「売れる物」を論理的に見つける仕組み

 

では、どうやって「売れる物」を考えるのか。 ここで、私が実践している「新しい商品を論理的に企画する仕組み」をご紹介します。私はこれを「連立方程式を解く」作業と呼んでいます。

まず、将来「あの時ああしておけば良かった」と後悔しないために、今「こうする」という道筋を論理的に導き出す必要があります。そのために、以下の方程式の「変数」を埋めていくのです。

【変数1:外部環境(市場の未来)】

  • 今、自分がいる業界は、5年後、10年後も存在し、発展しているだろうか?

  • 「Yes」であるなら、その「進歩」に貢献する(=未来で必要とされる)商品は何か?

【変数2:内部環境(自社のリソース)】

  • 自社で今、利用可能な「技術」は何か?

  • 自社が持つ「販売方法(販路)」は何か?

  • その他、活用できる資産(特許、ブランド、人材など)は何か?

この2つの「変数」を徹底的に洗い出し、外堀を埋めていきます。 そうすると、「市場が求めているもの」と「自社が提供できるもの」が交差する点が、答えとして浮かび上がってきます。

これが、日本語で書かれた「新商品の連立方程式」です。 この方程式を解くことで導き出された答えこそが、成功確率の高い「新しい商品企画」となります。

必ず成功するとは限りません。しかし、勘や思いつきではなく、このような「論理的に商品を企画する仕組み」を持つ企業が、最終的に強くなるのだと確信しています。 (ちなみに、これまでに私が出願した1件の特許の裏には、平均して20件ほどのボツになったアイディアがあります。つまり、通算1000くらいの分野や技術について、この方程式を立てて検討してきたことになります。)

 

メーカーとは「投資業」である

 

このプロセスを、私は「メーカーとは投資業である」と表現しています。

  1. 企画:まず「連立方程式」を解いて、商品企画を立てる。

  2. 投資:その企画を信じて、開発投資(人、モノ、金、時間)を行う。

  3. 結果:そして製品が売れ、投資額を回収できたら「成功」。できなかったら「失敗」。

このサイクルを、いかに「速く」「安く」「多く」実行できるか。 その試行錯誤の経験こそが、方程式を立てる「ノウハウ」として蓄積され、企業の血肉となっていきます。

これが、私の思う「メーカー」の姿です。 次回は、この考え方をさらに具体的に説明したいと思います。