創造_何を作る

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帝国ニュース北陸版(出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版)


株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)

 何をつくればよいのでしょうか。以前(本誌2021年9月17日号「仕様の決め方」参照)にも少し書きましたが、売れる商品を計算する方法をもう少し詳しく説明してみたいと思います。

 まず、2つの条件を確認します。
条件①
 自社または取引先のノウハウや技術で、実現可能な範囲で商品を考える必要があります。できないことを商品にはできないからです。リソースをリストアップするということです。
条件②
 世の中にある商品カテゴリの範囲から商品を考えます。分からない人に知らないものを説明するのは時間とコストがかかるため、いま現在、世の中にある商品カテゴリの中から考えます。一歩先ではなく、半歩先の商品を考えるということです。もし一歩先のことに気づいてしまったら、そのアイディアが半歩先となる時期まで寝かせておきます。特許の期間は出願から20年なので、半歩先になると思われる時期がその範囲に入るようであれば、先に特許出願だけ済ませておくという方法もあります。次に、世の中にある商品カテゴリの一覧を作りますが、このとき、自社の事業領域とANDをとり、重なる領域の中で考えるようにすると良いと思います。あるいは、自社の事業領域の周辺までを含めても良いと思います。これはAmazonやYahooショッピングのカテゴリ一覧を見れば分かります。
 これで、リソースと商品カテゴリが決まったので、この2つのデータベースから計算します。リソースを頭に置き、カテゴリ一覧を見ながらマッチングしていきます。このときハッキリとした製品が思い浮かぶ場合は、すでに類似品がある可能性が高いです。ここでは、「ぼんやりした製品の雰囲気」、「具体的な製品は分からないが、こんな需要があるかもしれない」などが分かれば良いと思います。
 ぼんやりした商品のイメージができたとき、それを実現する方法を考えます。それが発明になります。現在から半歩先の未来へジャンプするのです。このジャンプの方法は本に書いてありません。本に書いてあるのは過去のことだけなので、いくら勉強し知識を増やしてもヒット商品は生まれないのです。未来を創造するしかありません。
 ジャンプする前に、さらに詳細な情報を収集し商品の条件を設定します。ここまでは学校の勉強と同じです。ここをおろそかにすると売れない商品をつくってしまうことになります。条件設定が完了し、商品の仕様がほぼ固まった状態でジャンプします。その商品の仕様を実現するための方法を創造するのです。その創造は発明を含む場合もあります。発明が含まれていれば特許を出願し、価値ある権利として20年の期間を利用すれば良いのです。
 結論としては、現在入手できる情報を元に商品の概要(アウトライン)まで追い込みます。考えるというより理詰めで追い込むという言い方が似合います。そして未来を創造しながら、それを実現する方法を考えます。ここは勉強すれば誰にでもできというものではなく、センスが問われるところです。自分にそのセンスが有るのか無いのか、自分の才能や性能を自覚することも大事で、無ければセンスを持った人と協力して行うしかありません。

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