変化の察知と、思考停止の罠
緩やかな変化(ぬるま湯)の場合
まず、有名な「ゆでガエル」の話です。 生きた蛙と水を鍋に入れて火にかけます。だんだん水が温かくなってきました。
蛙A: 「何かおかしいぞ、ここから出よう」 蛙B: 「でも暖かくて気持ちいいよ」 蛙A: 「もっと熱くなったらどうするんだ」 蛙B: 「そんなこと言っても、みんな気持ちいいって言ってるから」 蛙A: 「それでいいのか? 僕は(自分の判断で)この鍋から出るよ」
(Aは鍋から出た)
水が熱くなってきました。
蛙B: 「Aが言っていたとおり熱くなってきたなー」 蛙C: 「そうだなー」 蛙B: 「でも、みんなまだ入っているから何とかなるんじゃない」 蛙C: 「たぶんそうだよ」 蛙D: 「僕もそう思う」 蛙E: 「そうそう」 蛙F: 「みんなが言うから大丈夫」
水が沸騰しました。
蛙B: 「・・・・・・」 蛙C: 「・・・・・・・・」 蛙D: 「・・・」 蛙E: 「・・・・・」 蛙F: 「・・・・・・・」
この話が示すように、変化を感じ取る感性の高さと行動の早さが、文字通り運命を分けます。
現実の世界では、鍋から出た蛙Aがその後幸せになったかどうかは分かりません。しかし、彼は少なくとも「自分の判断で行動し、その結果を受け入れる」というプロセスを経験しました。それこそが、次の新たな困難を解決する能力になるのだと私は思います。
急激な変化(熱いお湯)の場合
対照的に、熱いお湯に生きた蛙を入れたらどうなるでしょう。
蛙A: 「あっちー、早く出よう」 蛙B: 「あついー、出よう出よう」 蛙C: 「ちょっと待ってー熱いよー」
感性が低くても、さすがに急激な変化には誰でも気が付きます。問題は、気づきにくい「緩やかな変化」にどう対応するかです。
本質を見抜く「論理」の重要性
しかし、変化に「気づく」だけでは不十分です。問題の本質を正しく認識し、次を予測しなければなりません。
ここで、もう一つの思考実験をしましょう。
- 蛙に「飛べ」と言うと、飛びました。
- 次に、その蛙の足を切り落としました。
- 再び「飛べ」と叫びましたが、蛙は跳びません。
この結果から、ある人がこう結論付けました。 「蛙は、足を切ると耳が聞こえなくなるのだ」
バカバカしいと思うかもしれませんが、私たちは現実のビジネスでこれに近い思考停止に陥っていないでしょうか。
実際には、蛙は「足が無いから」飛べないのです。当たり前です。 しかし、先の「耳が聞こえなくなる」という(誤った)解釈を、この「入力(命令)」と「出力(飛ばない)」という結果だけをもって「100%間違いだ」と証明することは困難です。
私たちが本当にすべきことは、「入力(=事象)」と「出力(=結果)」から、「内部の構造(=なぜそうなったのか?)」を論理的に探ることです。そして、その探り当てた構造(=法則性)を基に、次に起こる事を予測するのです。
この「論理的な推測と検証」の繰り返しによってのみ、未来予測の精度は上がっていきます。
既成概念は不要です。 感性で変化に気づき、他者に流されず行動することは第一歩にすぎません。 本当に未経験の困難を乗りこえる力とは、物事を本質から論理的に考える力なのです。
