創造_売れる商品企画

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帝国ニュース北陸版(出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版)

株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)

 売れる商品を企画する方法を説明します。後半は実例をあげて、どのように考え何をしたら売れたのかを説明いたします。
 同じ努力をするのなら市場が大きい方が有利なので、まずは大きな市場を狙います。次に、用途を考えます。誰もが必要とする用途です。その次は、機能を考えます。これまでにない画期的な機能です。パッと見て誰もが欲しいと思う機能です。ここまでは、誰でも分かると思います。具体的に大きな市場を決め、そして具体的に画期的アイディアから生まれた製品を考えます。しかし、その画期的なアイディアをどのようにして実現するかが問題になります。そこを発明で乗り越えるのです。市場と用途と機能まで絞り込んでから発明を行うと、考える範囲が狭くなり解決しやすくなります。発明で乗り越えた後は、その方法を権利化する必要があるため、ここで特許出願を行うことになります。
 強い特許を取る方法を説明します。画期的な製品をイメージできた段階で、特許の権利範囲である請求項1を考えます。ここで、権利化できない、または、権利化しても営業的に有利にならないと判断した場合は、製品化を中止します。そうすれば損切りは最小で済みます。そして新たなアイディアを考えれば良いのです。この請求項1までを考えて製品化を検討することを繰り返せば、あまり費用をかけずに商品開発を大量に行う事ができます。製品化の判断を試作や実験を行ったあとに行うと、時間と費用が無駄になります。権利化の可能性を探るときは、先行技術調査を行います。この先行技術調査の能力を身につけるまでに、私は数年かかりました。方法を理解できたとしても、特許を出願して審査請求をかけ、そして審査官とのやりとりを経験しなければ、能力が身についたかどうか判定できないからです。
 実例をあげて製品開発の成功例を説明します。大きな市場としてペットボトルを選定しました。次に用途をアウトドアと設定しました。そして一番重要な機能を考えました。ペットボトルを屋外で使うとき、あると便利な機能は何なのかを考えたのです。温かい飲み物を持っていきたいときは保温の水筒を使います。冷たい飲み物を持っていきたいときも保冷の水筒を使います。どちらも断熱効果の高い水筒があれば解決します。そこで保温保温保冷ではなく、これまでに無い機能を考えたところ、屋外で加熱か冷却を行うことだと気づきました。屋外でペットボトルを冷却できると便利なのではないかと考えたのです。これまでに冷却機能があるペットボトルや水筒は見たことがありません。屋外の炎天下で冷却できると需要があると思いました。
 ここまで仕様を追い込んでから技術的に解決する方法を考えました。冷却する方法は、気化熱を奪う方法、放射冷却、電子冷却の3種類があります。まず、電子冷却は電源が必要なため不採用、放射冷却は近くに冷たい空間や物がないと利用できません。残ったのは、気化熱を奪う方法です。何を気化させるか考えたのですが、どこでも手に入る水になりました。濡れたタオルをただペットボトルに巻いても良いのですが、太陽光が当たるとすぐに乾いてしまいます。そこで、太陽光を遮り気化熱を奪う方法を考えました。そして特許登録してクラウドファンディングで販売したところ実働3週間で4千個以上売れました。成功です。このように売れる商品の仕様を外から決めていくのです。最後に実現するための発明を行えば、全て満足するビジネスプランになります。

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