出典:帝国データバンク発行 帝国ニュース北陸版
株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)
私は、売れる商品をつくって売れば良いと思って起業しました。やってみるとその通りでした。売れる商品を開発できないと資金難に陥りますが、売れる商品ができると事業ってなんと楽しいのだろうと思いました。その繰り返しを30年行っています。現在は、発明家、メーカー、知財の販売まで全ての工程を行いながら、その経験を元に商品開発アドバイザーとしても活動しています。
30代の頃は、いろいろな方からアドバイスを頂きました。とても価値あるアドバイスもありましたし、そうでないアドバイスもありました。何故かと考えたところ、アドバイスをする方の経験に基づいたものかどうかの違いでした。その頃からノンフィクションのアドバイザーになろうと思うようになり、現在は、実体験を元にアドバイスを行っています。
あるとき、ある方にアドバイスしていると「じゃーやってみて」と言われたことがあります。そのとき、アドバイザーは横からアドバイスするものと思っていましたが、自分ならこうするという信念を持ってアドバイスしなければならないと気づきました。もう少し踏み込むと、アドバイスするからには、その企業の社長ができなければいけないと思いました。ここまでくると、アドバイザーではなく経営代行です。
起業には2種類あると思います。新規に会社を設立してゼロから出発する場合と、ある程度の規模の企業が新しい事業を立ち上げる場合です。ゼロから事業を立ち上げるときは、最初のビジネスプランを成功させないと辛いものがあります。社内で新事業を立ち上げる場合は、使えるものが多いため安全に開始できると思います。
どちらも実行する内容は同じで、まずリソースの一覧をつくります。できることと使えるものの一覧です。次に利益目標と期限を設定します。そうすると、商品企画を含めて最善の方法が一つ見えてきます。あとは実行するだけです。
私は、このように条件設定から商品企画を含む最善の方法を計算する事を仕事だと思っています。これまで多くの商品を開発し成功と失敗を繰り返してきましたが、その都度、どのような経路をたどってこの考えに至ったのかを遡って検証していました。商品開発は閃きや思いつきで行っても良いのですが、その企業に適した最善の方法があるはずなのです。それを計算すれば、ビジネスプランと商品企画が算出されます。
ここで、最善の方法が一つしか無い理由を簡潔に説明します。設定した期限が来たときに、「あのときこうしておけば良かった」と、最善だった方法に気づくことがあります。ということは、まさに今、こうすれば良いという方法がある筈なのです。数学的に最善の方法が一つであることが証明されましたが、その答えに気づけるかどうかです。あとは計算式に従って実行すれば良いのですが、その計算式の立て方こそ商品開発のノウハウだと思っています。
私事ですが、2024年4月から”いしかわ大学連携インキュベータ”のチーフインキュベーションマネージャーを務めさせて頂くことになりました。少しでも入居者様のお役に立てるよう努力いたします。